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2005年7月 8日

2005年7月2日付読売新聞社説「労働市場の開放」

この日の社説は、労働市場の開放問題についてのものである。

「東アジア地域のヒト、モノ、サービスのバランスの取れた自由な流れを確保し日本と地域の経済発展を確かなものにしていく。そのためにも、労働市場の開放を急がねばならない。」

フィリピンなど東南アジアから安価な労働力が流入すれば、恐ろしいことが起きるだろう。低賃金の日本人労働者が、人件費が安いフィリピン人労働者やタイ人労働者との競争を強いられるからだ。ただでさえ低賃金の日本人労働者は、フィリピン人労働者やタイ人労働者労働者並に賃金水準を下げるか、雇用喪失かの二者択一を迫られることになる。これは社会の不安定化にも直結することだ。

経済界は労働市場の開放を要求しているが、その狙いはただひとつ。人件費の削減である。昨今の経済界には、「消費税を上げろ。でも、法人税は下げろ」という要求(下段注1)に代表されるように、「自分さえよければいい」という思想が根強い。労働市場の開放要求もその一環だろう。

なお、こうした経済界の要求について、読売新聞は、無邪気に「開放は『外』だけでなく『内』からの要請でもある」(2004年9月21日付「社説」)と書いているが、労働市場の開放がもたらす悪影響を少しでも考えたことがあるのだろうか。「消費税は上げるべきだが、新聞の消費税は上げるな」という「自分さえよければいい」という思想を元旦の社説に書いてしまう新聞社だから、何も考えていないのかもしれないが。

このように非常に問題のある労働市場の開放だが、結局は通ってしまう可能性が強い。国民に導入に同意させるために「年金マジック」が使われるからだ。「年金のために消費税を上げる」と公約した民主党が国政選挙で躍進したように、「年金のため」と言えば、間違った政策でも受け入れられてしまう傾向がある。労働市場の開放を要求する日本経済団体連合会(下段注2)の奥田碩(ひろし)会長もそのあたりのことはよく心得ていて、「社会保障の維持のために外国人労働者を受け入れる」と言っている(下段注3)。

国民に本質を見抜く目があるかどうか、ということになるが、あまり期待はできないだろう。

下段注1・・「消費税率は、平成19年度に地方消費税とあわせて10%まで引き上げ、その後も、段階的に引き上げていく必要がある。」「法人所得に対する課税は、国税への集約を図りつつ、国際的にも高い水準にある法人実効税率の引下げを図る必要がある。」(日本経団連の「平成17年度税制改正に関する提言」より)

下段注2・・「外国人受け入れ問題に関する提言」参照。

下段注3・・「少子化・高齢化が進展するなかで社会保障を維持し経済成長を続けるなら外国人の活用も視野に入れざるを得ない」(2002年11月26日の講演から)。「(外国人労働者について。中根注)二つの面がある。ひとつは少子高齢化により、今後、高齢者の比率が高まる。そうなると今の年金や医療制度を支えられなくなる。もうひとつは、労働力が不足するという問題だ。瞬間的には女性や高齢者にもっと働いてもらう。これが第一の選択。それでも足りなくなったら外国の方の力を借りて補ったらどうかということだ。どちらかというと単純労働の問題。」(2003年1月1日付日本工業新聞より)。

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